使徒 26章 「キリストは苦しみを受けること、また、死者からの復活によって、この民と異邦人とに最初に光を宣べ伝える、ということです。」 (使徒 26:23) 口を開いてよい、と言われたパウロは、「アグリッパ王よ、私がユダヤ人に訴えられているすべてのことについて、きょう、あなたの前で弁明できることを、幸いに存じます。」と語りだしました。パウロは、彼の若い日のユダヤ主義者としての徹底した生き方、そしてイエスさまを信じる者たちを激しく迫害した事実を語り、その彼に、ダマスコ途上で、復活の主イエスさまが語りかけ、彼をイエスさまの証人として召されたことを証しました。そして、彼は、その召しに応え、ユダヤ人の激しい反対を乗り越えて、ユダヤ人にも異邦人にも、悔改めて、神に立ち返り、悔改めにふさわしい生活をするように勧めてきたが、語ったのは、ただ一つ、すなわちキリストは苦しみを受けること、また、死者からの復活によって、この民と異邦人とに最初に光を宣べ伝える、ということだけだった、と語りました。死人のよみがえりということを聞いて、フェストは、「気が狂っているぞ。パウロ。博学があなたの気を狂わせている。」と叫びました。パウロは冷静に「気は狂っていません。」と答え、少しも恐れず、アグリッパ王に、「あなたは預言者を信じておられますか。」と問いかけました。パウロは、王や総督の前に引き出された時を、イエスさまの証と福音の宣教の機会と捉えていたのです。イエスさまを信じる者たちが王や総督の前に引き出されるのは証のためだと言われたイエスさまのおことば(マルコ13:9)を、パウロも聞かされていたのでしょうか。
唄野 隆 |