使徒　２３章

「勇気を出しなさい。あなたは、エルサレムでわたしのことをあかしたように、ローマでもあかしをしなければならない。」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（使徒　２３：１１）

　パウロの事件は、ローマ人である千人隊長クラウデオ・ルシヤにとっては理解し難い事件でした。ですから、パウロを議会に引き出して、ユダヤ人の告訴の理由を確かめようとしました。ところが、パウロが、自分はパリサイ人で死人の復活の望みのことでさばかれていると叫ぶと、復活などないと主張しているサドカイ人と、復活を信じ、霊や御使いの存在を受け入れているパリサイ人が激しく対立し、議場が混乱して収拾がつかなくなり、千人隊長はパウロを力づくで議場から連れ出しました。「その夜、主がパウロのそばに立って、『勇気を出しなさい。あなたは、エルサレムで私のことをあかしたように、ローマでもあかしをしなければならない。』と言われました。ユダヤ人たちの間では、もう一度、パウロを議会に呼び出すように千人隊長に働きかけ、彼が議場に入る前に暗殺する計画が立てられました。暗殺の陰謀には４０人以上の者が加わっていました。ところが、この陰謀のことが、パウロの甥を通じ、千人隊長の知るところとなり、千人隊長は、その夜のうちに、ローマ軍の歩兵２００、槍兵２００、騎兵７０という大部隊で、パウロを、カイザリヤにいたローマの総督ペリクスのところへ送り届けてしまいました。すべての出来事の背後に、人々の色々な思惑や行動をも用いて、先にパウロに示されていたように（１９：２１）、主がパウロをローマに導いておられる様子がうかがえます。主はローマにも福音を伝えたかったのだと信じ、御名をあがめます。

唄野　隆