ローマ書 1章 「御子は、・・・私たちの主イエス・キリストです。」 (ローマ 1:4) パウロが、コリントで、御霊の示しにより、エルサレムを訪ね、それからローマにまでも行くと決めた後(使徒19:21)、隣町ケンクレアの教会の執事フィベがローマへ行くと聞き、彼女に託して(16:1参照)、ローマの教会に、自分が伝える福音の真髄を前もって伝えておこうとして書いたのがローマ人への手紙だと思われます。この手紙には、福音の全体像が見事に描き出されています。パウロは、まず、自分が神の福音のために選び分かたれキリスト・イエスによって使徒として召された者だ、と伝え、彼が伝える福音はイエス・キリストがダビデの子孫として生まれ死人からの復活によって神の御子であると公示された御方だというところにある、と語ります。お前は福音をそのように理解しているか、自分に幸いを与える栄養剤、苦しい時の鎮痛剤のような理解に止まっていないか、と問われます。パウロは、この福音をローマにいるすべての兄弟姉妹に伝えたいと願い、いつも彼らのことを思って祈っていました。私はこのような熱心をもって愛する者のために祈っているだろうか、と心に迫られるものがありました。この福音は信仰によってだけ自分のものとなります。人間の探究心や努力で手にすることのできるようなものではありません。しかし、人間には自負心があります。自分で求め、自分で努力してそれを手に入れようとします。ですから、まず、すべての人は罪人で神の恵みを受けることができない、ということが示されるのです。神の救いはただ、信仰によってだけ受けることができるのです(17節)。
唄野 隆 |