使徒 20章 「いま私は、あなたがたを神とその恵みのみことばにゆだねます。」 (使徒 20:32) パウロは、コリントで、御霊の示しにより、マケドニア(現在のギリシャの北部地域)とアカヤ(ギリシャの南部の地域)を通った後でエルサレムへ行くという計画を立て、そのとおり、マケドニアからアカヤまで、福音を語って、兄弟たちを励まして回り、そこからエルサレムに向けて出帆しようとしました。しかし、ユダヤ人の陰謀があったので、陸路でエルサレムに向かうことにしました。ギリシャやアジア各地の教会の代表者たちも同行することになりました。パウロは行く先々で、熱心に福音を語りました。トロアスではあまり熱心に長く話したので、窓際で聞いていた青年が居眠りをして落下し、死んだと思われたようなこともありました。彼がそれほど熱心に語ったのは、彼にとって、これが彼らに福音を語る最後になるだろうという予感があったからでしょう。その彼の気持ちがミレトでのエペソの教会の長老たちにたいする決別説教にはっきりと示されています。彼は、エペソの教会の長老たちに、“自分は、ユダヤ人の反対の中、謙遜の限りを尽くし、涙をもって、主に仕え、益になることはすべて伝え、神にたいする悔改めと、主イエスにたいする信仰の必要を主張した、今からエルサレムに上るが、あなたがたに二度とお目にかかることはないだろう、私は神のご計画をすべて示しておいた、だから自分自身と群れの全体とに気を配れ、いま私はあなたがたを神とその恵みのみことばにゆだねる”と語りました。状況は違うにしても、お前もこのような心構えで人と接するべきではないか、と問われていると思いました。
唄野 隆 |