聖書一日一章メッセージ集
堺大浜キリスト教会聖書一日一章 「しかし、ついに彼の終わりが来て、彼を助ける者はひとりもいない。」 (ダニエル11:45) 今日のダニエル書11章は、主にアレクサンダー大王以降のパレスチナを挟んでのエジプトとシリアの争いについての預言です。 1節のメディヤ人ダリヨスとは、5章の31節、6章の1節や28節に出て来た人物で、バビロンの滅亡の直後、有名なクロス王の前に王であった人物のことです。ですから、この11章の預言はバビロン滅亡直後の、紀元前539年か538年に与えられたものだということになります。 2節では、ダリヨスの後、4代目の王がギリシャに戦いを挑むことが預言されています。これは、クセルクセスというギリシャ語の名前で有名な、エステル書の中でアハシュエロスという名前で出て来る王様のことを指していると考えられます。 3節の勇敢な王とは、アレクサンダー大王のこと、4節の国の分割はアレクサンダー大王の死後、その王国が4つに分かれることの預言である、と考えられます。 5節から35節の南の王とは、アレクサンダー大王の死後、エジプトを治めた、プトレマイオス王朝の王様のこと、また北の王とはアレクサンダー大王の死後、シリヤを治めた、セレウコス王朝の王様のことで、この両者の間には代々、パレスチナを巡って争いが続けられることになります。その具体的な駆け引きややりとりの様子が5節から35節で預言されているわけです。 21節の「ひとりの卑劣な者」とは、巧みにシリヤの国の王位を奪い取り、エジプトにも勝利した、アンティオコス・エピファネスのことのようです。29節から35節では、彼が2度目のエジプト遠征に失敗した帰り、エルサレム神殿を荒らし、ユダヤ人たちを迫害することが預言されています。彼は、やがて世の終わりに現れる反キリストの雛形のようです。36節以降は、アンティオコス・エピファネスには当てはまらない部分が多くありますので、反キリストそのものについての預言のようです。しかし、45節では、アンティオコス・エピファネスがそうであったように、その反キリストもやがて滅ぼされることが預言されているわけです。 最終的な勝利はキリストにあるのです。キリストを信じ抜き、従い抜き、その勝利に与かる者とならせていただきましょう。 中谷建晴 |