聖書一日一章メッセージ集
創世記 47章
「私が先祖たちと共に眠りについたなら、私をエジプトから運び出して、先祖たちの墓に葬ってくれ。」
(創世記 47:30)
ヤコブの一行がひとまずゴシェンの地に落ち着いた後、ヨセフは、兄弟のうちの5人を連れて、パロの前に出て、事の次第を報告しました。パロは、ヨセフの兄弟たちに、彼らの職業は何かとたずねました。彼らは、前もって聞いていたヨセフの助言に従い、また正直に、羊を飼うことを生業としていると答え、牧草地の豊富なゴシェンの地に住むことを許して欲しいと願いました。ゴシェンの地とは、今のスエズに近い肥沃な地ですが、カナンに最も近く、王宮から遠くはないが、政治・文化の中心からは離れた地域だったようです。ヨセフは、イスラエルがエジプト社会に呑み込まれ、主の民としての独自性を失わないように配慮したのではないか、と思われます。その後、ヨセフは、父ヤコブをパロに引き合わせました。ヤコブは高齢でしたが、父祖の年月には及ばないと謙虚に答えました。こうして、ヤコブの一族は、ゴシェンの地に住み、ラメセスを所有としました。その後も厳しい飢饉が続きましたが、ヨセフは、パロの王権を強化し、比較的安い税で国民の生活を支え、子どもたちの生活も支え、種を用意して将来への投資を進めるなど、次の世代にまで配慮した国造りを進めました。その後、ヤコブは、生涯の最後の時を迎えたのですが、彼は、ヨセフを呼び寄せ、自分をエジプトの地に葬らず、カナンにある先祖伝来の墓に葬ってくれるように依頼しました。彼は、彼の先祖同様、今の世の栄華ではなく、永遠の都を待ち望んでいたのです(ヘブル11:16)。
唄野 隆 |