ヤコブ書 5章
「ただ、はい」を『はい』、『いいえ』を『いいえ』としなさい。」
(ヤコブ書 5:12)
この章は、金持ちたちの利己的な強欲に対する非難から始まります。権力を得たとき保身のために邪魔者を殺す非道さも厳しく責めます。それは前章から続く自己中心性に対する叱責です。金持ちたちは自分が富を得るために、他人を利用し正当な報酬を支払わない、と厳しく責め、それに対する主のさばきを告げます。彼らに苦しめられ正義を求める人々には、さばきは必ず来るから忍耐をもって耐え忍べ、と勧めます。クリスチャンとしての歩みに大切なのは忍耐です。私たちは、祈ったことが答えられない、苦しみが去らないとつぶやくことが多いのですが、祈りは必ず聴かれます。苦しみにも救いがあります。目先では答えが見えず不正がはびこっているように見えて、何故とつぶやきたくなりますが、後になって、その遅れと見えることが実は最善だったのだと悟ることがよくあります。忍耐を持って耐え忍んだ者はその恵みを経験します。ヤコブは、よく耐え忍んだ信仰の先輩たちを模範にして耐え忍ぶことを勧め、「耐え忍んだ者は幸いである。」と言っています。そして、「祈りなさい。・・・賛美しなさい、・・・祈ってもらいなさい。」と、主に目を向け、主に祈り、主に栄光を帰すように勧めます。私たちは目の前の苦しみや喜び、病などに目を向けて動揺し易いのですが、主に目をむけ、主に祈り、叫び、賛美することが大切だ、と示されます。誓いのことばで自分のことばを誇張するのも自己主張の裏返しです。ハイはハイ、イイエはイイエだけの率直さ、ありのままで主におゆだねすることが大事だと受け止めました。
唄野 隆 |