ヤコブ書 1章
「あなたがたの中に知恵の欠けた人がいるなら、その人は、だれにでも惜しげなく、とがめることなくお与えになる神に願いなさい。そうすればきっと与えられます。」
(ヤコブ書 1:5)
ヤコブの手紙は、主の兄弟で、エルサレム教会の長老だったヤコブが世界中に散らされているクリスチャンに書き送った手紙です。福音の神学的展開ではなく、クリスチャンがこの世で生きるための実際的指針が示されます。まず、クリスチャンはこの世では多くの試練を受けるが、試練は信仰を精錬し忍耐を生み出すから試練を喜べと勧め、試練に耐え抜いた人は、神を愛する者に約束されたいのちの冠を受けると語ります。そのような試練を喜べる信仰は、試練の意味を正しく理解し、それを乗り越える道を示す神からの知恵によって与えられます。知恵とは知識ではなく、善悪を判断し正しい道に導く洞察力です(2歴1:10、1列3:9)。私にも知恵を豊に与えてください、と主に願いました。神の知恵をいただいた者は主を信じ主のみことばに聞き従います。この世の貧富や身分の違いに揺さぶられることなく安定した歩みをします。誘惑に出会っても、それを神のせいにするような無責任なことはしません。すべての誘惑は自分の内なる欲望からくるものであることをわきまえます。私たちはみことばによって生み出され、みことばによって導かれる者であることを知恵によって悟るからです。私たちは、行いによって救われるのではなく福音を聞いて救われるのですが、行いが生み出されないような信仰は偽物です。お前は聞いて信じたとおりに生活しているか、と問われるのを覚えます。
唄野 隆 |