ピレモン書
「彼は、前にはあなたにとって役に立たない者でしたが、今は、あなたにとっても私にとっても、役に立つ者となっています。」
(ピレモン 11)
この手紙は、パウロがコロサイの教会に手紙を書き、テキコに持たせてやったとき、オネシモを同行させ(コロサイ4:9)、彼の元の主人ピレモンに宛ててオネシモのためにパウロが書いた添え状です。オネシモはピレモンの奴隷でしたが、たぶん主人の金を盗んで、ピレモンのところから逃げ出しました。ところが、パウロが彼に会って、彼をキリストのもとに導き、彼が信仰を持ったので、彼を手元に置いて助け手としたいと思いましたが、元の主人であったピレモンの同意なしにそんなことをしてはよくないと思って、オネシモをピレモンのもとに送り返しました。イエスさまにたいする信仰を持ったとき、彼は回復されました。神に背を向けていた神に対して無益な者が神さまにとって大切な神の子とされただけでなく、牢につながれていた囚人のパウロにとって役立つ有用な助け手となり、主人の意に沿わず、主人のものを盗むような無益な者が主人にとっても役に立つ者と変えられたのです。福音は、神にとっても人にとっても、有害無益な者を有益な者に変える力があります。お前も福音によって、神に対しても、教会に対しても、家族、友人、社会にたいしても有益なものと変えられるのだ、信じて歩め、と語りかけてくださるのを、感謝してお受けしました。この手紙を受けたピレモンは、おそらく、オネシモを赦し、彼を奴隷としてではなく、兄弟として受け入れ、パウロを助けるために、パウロの許に、改めて送り返したのではないか、と思います。
唄野 隆 |