テトス 1章
「私は、神に選ばれた人々の信仰と、敬虔にふさわしい真理の知識のために使徒とされたのです。」
(テトス 1:1)
パウロは、この手紙でも、他の手紙と同じように、発信人であるパウロが主から召された使徒であると言いますが、他の手紙以上に、彼が使徒として召された意味をはっきりと書き記しています。「私は、神に選ばれた人々の信仰と、敬虔にふさわしい真理の知識のために使徒とされたのです。」それは、彼がテトスを遣わしたのが“うそつきで、なまけ者の食いしん坊”と言われたクレテ人の教会だったからです。パウロは、彼らを、純粋な信仰をもち、真理に基づく正しい知識を保ち、敬虔な生活をし、周りの人々にキリストを証する聖徒に育て上げるために召されたのだ、と確信していたのです。テトスはギリシャ人で、パウロに導かれて信仰をもち、彼のもとで育てられましたが、パウロが捕えられたので、彼によってクレテの教会を助けるために遣わされました。クレテに行って、そこの教会のために長老を任命し、彼らがクレテの教会を守り育てるように指導させるためでした。パウロは、自分たちの中から立てられた長老や監督たちによる自立した教会が育つことを目指していたことがわかります。その長老や監督には、何かが出来ることよりもまずその生活が整えられることが求められました。きよい生活、自己主張せず、慎み深い、人々への配慮に富んだ人であることが、彼らの語る証のことばが受け入れられるための最大の備えだからです。お前も、空理空論を避け、健全な教えを語り、その支えとなる健全な生活を求めよ、と迫られていると聞きました。
唄野 隆 |