1テモテ 5章 「もしも親族、ことに自分の家族を顧みない人がいるなら、その人は信仰を捨てているのであって、不信者よりも悪いのです。」 (1テモテ 5:8) 4章で、自分自身を大切にし、自分を鍛錬することをテモテに勧めたパウロは、5章で、教会の牧者として、教会の人々にどう仕えるべきかを示します。“年寄りを叱るな、父親に対するように勧めよ、若い人には兄弟に対するように、年とった女性には母親に対するように、若い女性には純真な心で姉妹に対するように勧め、やもめの中でも本当のやもめは敬え”と命じています。それぞれ、相手を大事にするように、それも宝物を大事にするようにではなく、相手を神のかたちをもつ独立の人格をもつ大事な人として尊敬をもって接するように、と勧めているのです。人格の交わりには相手の人格に対する尊敬が肝要なのです。このことはすべての人との関わりに当てはまります。その人格的交わりは身近な人からはじめてすべての人に及ぶように育てられていくのです。ですから、家族との間にそのような関係を育てることがまず求められます。そういう意味で、「もしも親族、ことに自分の家族を顧みない人がいるなら、その人は信仰を捨てているのであって、不信者よりも悪いのです。」というみことばは、大きなチャレンジです。教会では、やもめや貧しい人々にたいする援助がなされていましたが、それに甘えて家族の責任を放棄することは許されないことでした。お前は家族にどう仕えているか、と問われるのを覚えます。教会の健全な成長のためには、指導者である長老たちに対する尊敬が大切なことも、この線上でしっかりと受け止めるべきだと示されます。
唄野 隆 |