2コリント 12章
「愛する人たち。すべては、あなたがたを築き上げるためなのです。」
(2コリント 12:29)
パウロは、「無益なことですが、誇るのもやむをえないことです。」と断りながら、彼が経験した主の幻と啓示を語ります。天に引き上げられ、人には許されないことばを聞いた体験を語ります。第三者のような書き方ですが彼自身の体験であったことは明らかです。彼は、こんな素晴らしい体験を許された自分を誇ろうとはせず、かえって自分の弱さを語りました。彼は、肉体に一つのとげを与えられていました。そのとげ自体はサタンの使いでしたが、彼はそれを高慢を免れさせる神の備えと受け止めました。素晴らしい体験は人を高慢に陥らせ、滅びを招く危険がありますが、彼は与えられた体験を感謝しながら、弱さの体験を高慢を免れさせるものとして受け止めました。そして、主の力が弱さの中に現われることを示されました。私たちも、素晴らしい賜物に恵まれ、大きな働きをしている方が、一方でいろいろな弱さを体験しておられるのを見ることがあります。その方がその弱さのゆえに謙虚にされ、きよめられているのを見るのは大きな慰めですし、その方への愛慕の思いも深められます。この深遠な体験を背景に、パウロは、彼自身の使徒職の権威を主張しながら、謙虚に、誠実に、人々の反抗や侮辱を耐え忍び、そういう人々にそそのかされ、彼に反抗心を持っているコリント教会の一部の人々が悔改め、共に主を崇めることができるように、愛をもって語り続けます。すべては、彼らをキリストの教会として築き上げ、清純な処女としてキリストにささげるためでした。この謙虚さと愛とを私にも与えてください、と祈りました。
唄野 隆 |