堺大浜キリスト教会聖書一日一章

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　詩篇　１４３篇

「主よ。あなたの御名のゆえに私を生かし、あなたの義によって、私のたましいを苦しみから連れ出してください。」
　　　　　　　　　　　（詩篇　１４３：１１）

詩人は、大きな苦しみの中にあったようです。「敵は私のたましいを追いつめ、私のいのちを地に打ち砕き、長く死んでいる者のように、私を暗いところに住まわせた。」と訴えています。その中で、彼は、「あなたのしもべをさばきにかけないでください。生ける者はだれひとり、あなたの前に義と認められないからです。」と祈っています。自分の罪を認めているのです。自分の罪を知ることは人を苦しみに落します。しかし、自分の罪を認めるとき、その人は苦しみを乗り越える入り口に立ちます。自分は正しく歩んでいると思っている人は、何か苦しみに遭うと、自分は何も悪いことをしていないのに、なぜ私がこんな苦しみに遭わなければならないのか、と不満に満ち、怒りに身を捩じらせるように荒れ狂います。しかし、自分の罪を認める人は、その中から、自分を顧み、主の憐れみを求めて祈ります。詩人は「私は昔の日々を思い出し、あなたのなさったすべてのことに思いを巡らし、あなたの御手のわざを静かに考えています。あなたに向かって、私は手を差し伸べ、私のたましいは、かわききった地のように、あなたを慕います。」と祈りました。このときが彼の転換点でした。彼は、積極的に、主の恵みを思い、主を信頼し、主の道を知り、主のみこころを行うことを求めるようになりました。「あなたこそ私の神。」と告白し、「主よ。あなたの御名のゆえに私を生かしてください。」と祈りました。この祈りを主は喜んで聞いてくださる、と信じます。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　唄野隆