聖書一日一章メッセージ集



堺大浜キリスト教会聖書一日一章

                      ヨブ記 30章

「それでも、廃墟の中で人は手を差し伸べないだろうか。その衰えているとき、助けを叫ばないだろうか。」
                    (ヨブ記 30:24)

昔の幸せであったときのことを思い出していたヨブは、今の自分の姿に目を向けました。それは、昔の日々とは全く逆の惨めな現実でした。“昔は首長や王のような尊敬を受けていたのに、今は、昔は軽んじて相手にもしなかったような卑しい者の子ら、流れ者や追放者のような者にまで嘲られ笑い者にされている、悪童までもが私に暴行を加え、滅ぼそうとしている、それを止める者もいない、私は恐怖に捕えられ、尊厳を奪われている、しかもそれは神からきているのだ、そういう中で、主よ、私はあなたに叫びますが、あなたはお答えになりません、あなたは私にとって、残酷な方に変わり、私を攻め立てられます”とうめき、嘆き、叫びます。惨憺たる情況です。その中で、ヨブは、「それでも、廃墟の中で人は手を差し伸べないだろうか。その衰えているとき、助けを叫ばないだろうか。」と呟きます。絶望的な悲惨な現実の中で、そして、全く失望しかない言葉の中から、彼は、なおも主に向かって手を差し伸べ、主に救いを求めて祈っているのです。ここに彼の信仰が垣間見られます。主はこのヨブのうめきをどのような思いで聞き、その奥の、苦痛にまみれた信仰をどのように見ておられたのでしょうか。目に見える幸いや、立派な生き様などに左右されない、そういうものが何もなくても、また感知できるどんな応答をも得られない情況の中でも、ひたすら主を信頼し主に手を差し伸べる信仰を育てたい、と主は思っておられたのではないか、と思わされます。

       唄野隆



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