聖書一日一章メッセージ集



堺大浜キリスト教会聖書一日一章

                     1歴代誌 20章

「年が改まり、王たちが出陣するころ、ヨアブは軍勢を率いてアモン人の地を荒らし、さらに進んで、ラバを包囲した。」
                     (1歴代誌 20:1)

この章の出だしは2サムエル11章と同じで、4節以下は2サムエル21:18と同じです。2サムエルがその間に記している出来事、ダビデとバテシェバとの姦通事件、アムノンとタマルの近親相姦、アブシャロムのアムノン殺害、逃亡、反逆、死、ギブオン人の復讐事件、ダビデが弱ったこと、等はすべて省略されています。ダビデの王権を高揚するためと解釈することもできますが、逆に、完全な沈黙を通してダビデの罪、悔い改め、そしてその回復を強烈に思いださせ、イスラエルを顧みられる主の恵みと救いとを深く悟らせるためだったとも受けとれます。沈黙がより雄弁に語ることもあるのです。この章は、また、ダビデのことではなく、ダビデに従ってイスラエルの防衛と勝利のために働いたダビデの部下の勇士たちの働きの記録だとも理解できます。ヨアブは軍を率いてアモン人を征服し、ダビデの勇士たちはイスラエルに挑戦したゴリアテと同類の巨人たちや手足の指が6本づつという大男を打ち倒しました。しかし、これら全体を通じて、主のお約束どおり、イスラエル王国がダビデの下で確立されていったことがわかります。サムエル記や列王記、歴代誌は、ダビデやその他の人たちの英雄物語としてではなく、彼らを用いてイスラエルに勝利を与えられた主の救いの記録だと見ることが大切だと示されます。聖書を読むとき、表面に出てくる英雄たちの言動よりもその奥に隠されている主の御業や主の御思いに目を留めることが大切だ、と聞きました。

                           唄野隆



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